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昨今の印刷用紙価格高騰の要因と推移について

昨今、ペーパーレス化やデジタル化の影響で印刷用紙の需要は減少傾向にあります。しかも、原材料や物流コストの高騰により、印刷用紙の価格は上昇を続けています。これは、需要が減っているにもかかわらず、製紙会社がコスト上昇分を価格に転嫁しているためです。

1.印刷用紙価格高騰の要因 

2022年から2023年にかけて用紙価格全般が値上がりしています。

取引先によっては、お客様や仕入先と2~3回値上げ交渉されている会社様も多いと思います。最近の印刷用紙の価格上昇は、さまざまな要因が重なり、その影響を受けています。
大きくまとめるとポイントは5つあると思われます。


1-1.原材料の高騰
印刷用紙の原材料となるチップや古紙、重油、薬品などが為替の変動もあり、価格上昇の要因となっています。
例えば、2023年の国際パルプ価格指数によれば、パルプ価格は前年比で約20%上昇し、この上昇傾向は続いています。これは、国際的なパルプ需要の増加に対する供給の追いつかなさや、輸送コストの上昇、環境規制の厳格化などが原因とされています。

さらに、2023年には化学品やエネルギーなどの原材料価格も上昇し、これらは用紙製造における重要なコスト要素となっています。例えば、原油価格の上昇は化学薬品やプラスチックの価格を押し上げ、これが用紙製造にも影響を及ぼしています。
 
 

1-2.物流コストの上昇
ガソリン代・人件費の高騰から、運送費用の増加が要因となり、価格上昇の要因となっています。
日本における物流コストの上昇は、複数の要因によって引き起こされています。
以下に、その主な要因を解説します。
燃料価格の上昇: 石油やディーゼル燃料などの価格上昇は、トラックや船舶などの輸送手段の運用コストを増加させます。
例えば、2023年の日本の燃料価格統計によれば、燃料価格は前年比で5%以上上昇しています。
(経済産業省)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/1-2-1.html

人件費の増加: 労働力の需要が高まり、人件費が上昇しています。これは、労働市場の緊張や最低賃金の引き上げなどが要因です。
(厚生労働省)「令和5年度地域別最低賃金改定状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
  
 
1-3.輸入紙の減少
新型コロナウイルスの影響で輸入紙の流通が減少し、印刷の安定供給を優先するために輸入紙を国内生産に切り替えるなど、国内用紙の需要が上がり、価格上昇を招いています。(円安状況下もあり、輸入紙も値上がりしています)
 
 
1-4.ペーパーレス化(DX化)の進展
テレワークの普及と自然環境への配慮もあり、企業風土としてペーパーレス化が進んできており、印刷需要が減少し用紙生産量が少なくなっています。


5-5.需要と供給のバランス
2020年代に入ると、新型コロナウイルスの影響もあり、生産がストップしたり、市場での需要の変動と供給のバランスが崩れ、価格に影響を与えました。
他にも、直近でも戦争など、政治的や経済的な要因なども考えられます。


2.印刷用紙 市況価格の推移について


下のグラフは2022年4月から2024年1月までの印刷用紙の価格推移です。
※KPPグループホールディングス マーケットデータ(紙の市況)HP参照
https://www.kpp-gr.com/ja/market/youshi.html







コート紙、上質紙、微塗工紙など、一般的な印刷用紙も市況を見ますと2022年9月頃に値上げしたものの、さらに2023年1月から2月になると、20%程度上がっています。この期間は、原材料や電気ガスなどのエネルギーの高騰に加え、為替の変動も大きく、半年も経たない状況での価格上昇となりました。


しかし、2023年5月には新型コロナウイルスの位置づけがこれまで、「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」としていましたが、令和5年5月から「5類感染症」になり、対面での折衝も戻りつつあるため、昨年から用紙価格の動きは少し落ち着いています。

今後も世界情勢の需要と供給のバランスや経済状況、環境規制などの要因が用紙価格を形成する上で重要な役割を果たすでしょう。

3.印刷物の値上げ要因とその対策
 

3-1.各種資材の値上げ

印刷物関連の資材は用紙だけではなくインキ、刷版、段ボールも値上げされました。下図は各メーカーからのプレスリリースから引用したものです。用紙同様にかつてない値上げが断行されました。




3-2.比率ではなく金額で捉える
各社から「〇%以上UP」「〇%UP」「〇円以上UP」と示されました。しかし、もともとの仕入れ額は印刷会社により異なります。
Aという印刷会社が従来120円で仕入れていた用紙は、20%UPすれば144円になります。B社は同じ用紙を従来130円で仕入れていて、20%UPすれば156円になります。
メーカーとしては「〇%UP」というような表現をせざるを得ないのかもしれませんが、購買する側は「何円が適正なのか?」ということを知らないと、割高な購買をすることになる恐れがあります。これは用紙以外でも同様です。

シナジーコミュニケーションズでは、グループ会社や協力会社の情報網を生かし、用紙だけではなく、インキ、刷版、段ボール、発送費なども、(値上げ率ではなく)「何円が適正か」という観点でコストを精査・管理し、昨今の値上げの状況下でもお客様をサポートさせていただいてます。
印刷会社からしますと、資材以外にも電気代の高騰も影響は小さくはないですし、輪転機を回す印刷会社ではガス代の高騰も痛手でした。
従って弊社においても、昨今の印刷会社との交渉は簡単ではありませんでしたが、前述の情報網と経験(弊社の社員は印刷会社の営業部門や購買部門の出身者です)を生かし、印刷会社の事情を理解しつつもお客様の立場に立って、印刷会社と協議し、諸々の値上げに対応してきました。


シナジーコミュニケーションズでは販促物全般において、従来のコスト・予算をなるべく変えずにトータル価格と品質のバランスを熟慮して、お取引先さまに様々なご提案をさせていただいております。特に従来から紙媒体の取扱いが多く、直近の用紙代・印刷代などのコストアップが販管費を圧迫していると感じておられましたら、一度お気軽にお問い合わせください。